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アーモンド

はじめに漢方医学では「お血」という概念があります。 お血とは血液がとどこおっている状態を指した病態で、診断名としても使っています。 むかしの西洋医学では、お血という概念はなく、漢方に特有のものであるといえます。 お血を治療するのに用いる漢方葉を「駆お血薬」といい、 桃仁、牡丹皮、大黄、水蛭などがそれです。血液のとどこおりは、 たとえば顔色をみても、健康的でないドス黒いものであったり、赤い細絡がたくさんみられる赤ら顔であったりご肩こり、腰痛がひどかったり、 足の静脈が浮いていたり、というようにして観察することができ、お血症候群を発見することができます。 お血を西洋医学的に翻訳すれば、炎症、アレルギー、 免疫系の疾患としてみることもできますし、循環器系からみれば、血栓症、 高脂血症、動脈硬化症、血液粘度上昇症などもお血の範囲に入るでしょう。また自律神経失調症や婦人不定愁訴症候群といわれる疾患をお血としてみることもできるでしょう。 したがってお血はただ1つの病態ではないので、 お血症候群とするのが適切といえます。 お血症候群の患者が近年増加の傾向にあり、 またこの治療に漢方が大変有効であることも、よく知られるようになってきました。 私も近畿大学東洋医学研究所が発足する以前から、お血に興味をもち、お血病態の実験動物の作成に成功し、 駆お血薬の桃仁や牡丹皮の研究に力をそそいできました。 それぞれの漢方葉はすばらしい薬効があることがわかり、 これらを配合した桂枝茯苓丸が多くのお医者さんに用いられ、慢性病、アレルギー、循環器病、自律神経失調症の患者さんに福音をもたらすことができました。しかし、 一般の人々が手軽に、安心してのめるもので、駆お血作用のもつものがないだろうかと思い、私達が日頃、 食べているものの中にないだろうかとさがしもとめた結果、 漢方薬の桃仁と同し仲問のアーモンド駆お血作用がでてきたのです。しかも、 ナッツのスイート・アーモンドをそのまま食べるよりも、 人間の胃の中で消化する過程を先に工場でしておいた方が、服用したとき体内で吸収されやすく、しかも、 服用したとき体内でより効果的であることがわかったのです。したがってアーモンドの中に豊富にあるタンパク質を、 低分子のペプタイドのかたちにすることによって、より有効性の高いものとなったのです。 アーモンドは紀元前からナッツとして食べられたものですが、 一方では薬用としていたことも、古いギリシヤ、インド、中国の本の中から、うかがうこともできます。

お血の「お」: 病雁垂れに「於」

1、アーモンドの食料史
アーモンドの原産地は、 インドの西部およぴペルシャと推定されております。この地は桃、リンゴをはじめ多くの果物や、 ムギなどの主要な作物のふるさとで、ノアの箱舟の流れついた土地であるというにふさわしい所です。 約四千年前からヨルダン地方などで食用に栽培されていました。神話にもみられ、旧約聖書の中にも72箇所にアーモンドの名が記されています。 とくに有名なのは創世記第四三章にヤコプがエジプトに国の名物アメンドウ(アーモンド) を送ったという記載があり、当時は重要な贈物としていたようです。 有史以前に地中海沿岸のギリシャからアフリカ北岸一帯に広がったものといわれています。 いわば西洋文明の発生と共に神代のむかしからアーモンドの歴史もはじまったといわれるほど、愛好されたナッツといえます。 ギリシャ神話にもアーモンドのことが記されています。アメンドウの木に転身した王女の話の一部を紹介しますと、「…… 二男は事のいきさつを知ると、今は荒皮となったアーモンドの木を抱いて、やさしくその樹皮を愛撫して、熱い接吻を与えた。 するとそのアーモンドはそれに応えて、葉もないのに枝いっぱいに、見事な花が咲き出した。アーモンドが今日のように、 葉にさきがけて花咲くようになったのは、実にその時からだといわれている。またアテーナイの人々は二人を記念して、 毎年アーモンドの花盛ること、舞踏の集いを催して二人を偲んでいるといわれている。…。」といった具合です。 アーモンドがギリシヤからローマに伝った時、ローマ人はアーモンドを「ギリシャのクルミ」と呼ぴ珍重したといわれています。 イタリアではローマ時代以降栽培が盛んで、シシリー島は主産地として今もって名高いです。 中世頃までは王候貴族や上流階級の人々だけの高級嗜好品でしたが、スペイン、ボルトガル、モロッコなどでも栽培が広がり、 お菓子の本場フランスヘと伝わり、十七世紀頃から一般庶民の口にも入るようになり、ヨーロッパの人々に 「ナッツの王」として賞用されるようになりました。アーモンドがアメリカ大陸に渡ったのは、 1769年スペインの宣教師が種子を持ちこんだのが最初といわれています。十九世紀にはアメリカ各地で栽培がこころみられましたが、 アーモンドの生育に気候風土や土質が最も適していたのが、カリフォルニア州であることがわかり、ゴールドラッシユの終った19世紀中頃から、 本格的な栽培が始められました。今では全アメリカの生産量の98パーセントを占め、世界全生産畳の約半分も占めています。 わが国ヘアーモンドが渡来したのは、江戸時代に南蛮船でポルトガル人が持ちこんだのが最初といわれています。 当時の人々はアメンドウといったり、中国からも渡未していたことから中国名の巴日杏(ハタンキョウ) も使われていました。明治維新後まもなくの項、西洋から果物の苗を導入して、わが国での栽培化が試みられましたが、 地中梅の風土とはおよそちがう日本では栽培に今だ成功せず、第二次大戦後は、アメリカ、カリフォルニア州から輸入がはじまり、 今までのアメンドウや巴旦杏をあらため、はじめて「アーモンド」という名称が使われたのです。話を古代インドにもどします。 インドではアーモンドはカシミヤ地方やヒマラヤ山脈に近い人々によって、知られてはいたでしょうが、一般的ではなかったようです。むしろ、 ベルシャから回教徒により伝来したものといわれています。回教徒がインドに定着した頃、 アーモンドはペルシャやアフガニスタンの商人からインド南部や中部地方の人々が紹介を受けたのが最初で、サンスクリット (古代インドの高級文章語、梵語)の中にみられるBadam(ハタム)はまさにペルシャ語であることからも明らかです。 また古代インド医学であるアユルヴェーダー医学においてもチャラカ本草には 「ARUKA」 という名称で薬用として使用されていたことが記されています。 一方ではペルシヤからシルクロードを経て中国にも伝り、 ペルシヤ語のハタンキョウと杏に似た樹であるところから巴旦杏と呼ぷようになったといわれ、 ナッツとして愛用される他、薬用果実としても用いられていたことがしのばれます。

2、アーモンドの薬草史
スイート・アーモンドが薬用植物の一つであったとはおどろきです。薬草の発生地は世界各地に及んでおりますが、 その中でも伝統を誇るのはギリシャやアラビアでおこった医術、インドのアユルヴェーダー医術、中国の漢方医術の三つといえます。 その三薬草圏にアーモンドが用いられていたのです。これらの薬用植物の歴史は現存する薬草の本から知るしか方法がないので、 有史以前のことはわからないのですが、相当古くから薬用として使われていたことにはまちがいありません。 まず紀元1世紀頃のギリシャにディオスコリデスという有名な薬草の大家がおられ、『ギリシャ本草』 という薬用植物学の本を著わしました。

その中に「AMUGDALE」という名称でアーモンドが紹介されています。「まず、 アーモンドの実をつぷして、煮たものをパップ剤として顔に貼ると、日焼けのシミを取り去る。あてがっておくと (どこにあてがうのか不明ですが、おそらく膣坐薬として使用したのでしょう)月経血を排出させる。 酢やバラ油に混ぜて額やこめかみに貼りつけると、頭痛に効果がある。プドウ酒やハチミツとともに用いれば、化膿性疾患、ヘルペス、 咬傷に効く、アーモンドの実を食べると鎮痛作用があり、便痛を促し、よく眠れるようになり、小便の出もよくする。 ミョウバンやハッカとともに服用すれば、吐血によい。水で服用するか、 テレピンの木の樹脂とともに舐剤として服用すれば腎臓病や肺の炎症に効く。レーズン酒とともに服用すれば、排尿困難や結石に苦しむ者によい。 牛乳およぴハチミツと混ぜて舐剤にして服用すれば、肝臓病、咳、鼓腸(ガスがたまって腹満になったり、ゴロゴロおなかがなること)にもよい。

3、アーモンドのペプタイドの製法
カリフォルニア産のスイート・アーモンドをミキサーで粉砕し、アーモンド中の油の部分をとり除きます。 このアーモンド油分はアーモンドの半分の量もあるのです。この油で、てんぷらをあげるとアーモンドの香りがしてとてもおいしいものです。 脱脂されたあとのアーモンドパウダーを次に、アルコールで抽出し、不必要な成分を除去しますと、タンパク質を多量に含んだ粉未が得られます。 これを人の胃から分泌される胃液と同じような状態、すなわち塩酸とタンパク消化酵素であるベプシンを含む液の中で消化分解させます。 そうするとアーモンドタンパク質は低分子のペプタイドまでどんどん分解されます。 分解されたタンパク質を服用したとき、腸管から吸収されやすい適当な分子の大きさになったところで、 この分解反応を止めて、塩酸を重曹で中和し、100℃近くまで加熱して残っているペプシンを失活させ、それから更に透析して、 反応中にできた食塩やその他の分子の小さい物質をとり除きます。ペプタイドを多く含んだ液を粉霧乾燥しますと、 高純度のアーモンドのペプタイドが得られます。私達がナッツとして食べたアーモンドが胃の中に入り、消化を受けて、 十二指腸へ運ばれるまでの課程を、先にアーモンドを機械タンクの中で胃の中と同しような消化をやっておいてやろうという誠に親切な方法をとっているのです。 このような製造加工をすることによって、先に有効な成分を多く作っておいて、 体内に吸収されるものをより多くしようということです。これなら子供や老人や、 胃の手術を受けた人でも安心してのめるということです。ところで、アーモンドのペプタイドの組成をさらにくわしく調べるために、 高速液体クロマトグラフィーという分析機器にかけたところ、 分子量が約三千から一万の数十種類のペプタイドの混合物であることが判明しました。


 

4、アーモンドのペプタイドの薬理実験

骨折した人や打撲、捻挫をした人がアーモンドのペプタイドをのむと、しばらくして”スー”と、うそのように痛みがやわらぐことから、 アーモンドのペプタイドの鎮痛効果について薬理学的に研究をしたのです。実験動物のネズミに、 骨析や打撲をおわせて、”どうだ痛いか”!!、アーモンドのペプタイドをのんで痛みが治ったか!!と問診できません。 ネズミと会話ができないのです。よって客観的に痛みが鎮まったかどうかを知るためには、 ネズミのおなかに痛みをもたらす酢酸を注射するのです。これは世界的に認められた鎮痛テストの方法です。 十パーセント酢酸生理食塩液を体重1キログラムに対して十ミリリットルの計算量をネズミのおなかのすきまへ注射します。そうするとまて、 アーモンドのペプタイドをのませたネズミと、のませなかったネズミを比較します。アーモンドとの二群を作ります。同時に、 私達の実験が正しいかどうか、うまくいっているかどうかを把握する意味で、 すでに鎮痛効果がむかしから知られている医薬品を別のネズミにのませて、予想通りの鎮痛効果があるのかどうかを調べます。このようにして、 四群にネズミを分け、一群を約十五匹のネズミとします。今回はさらにアーモンドを水で煮て、その煮汁を濃縮したものや、 アーモンドを脱脂したものを水で煮た汁の濃縮物とも比較しました。そうすると、なにものまさなかったネズミは統計的に計算すると、 酢酸生理食塩液の注射十分後から十分間に痛みのために約40回せのぴをするのに対して、 アーモンドのペプタイドの人の常用量に相当する量を口からのませた群は14回で、多い平均でも27回しかせのぴをしなかったのです。 これは分子量から換算すると、新薬の医薬品と同等か、それ以上の効果を示したといえるのです。 アーモンドのペプタイドの少量やアーモンドの水煮汁、脱脂後の水煮汁については全く効果を示しませんでした。すなわち、 アーモンドをナッツとして食べても、また無理をして多く食べても、さほどの効果が得られないということです。 アーモンドのベプタイドがこのように効果のでるまでには、どのように加工すればよいのかを調べるため色々な消化酵素を作ったり、 反応液の酸性度や反応温度
などをいろいろ変えてみて、できたものをそのつど薬理実験して、効果を判定しました。やっとの思いでよい条件がみつかり、今日、 一定の品質のものを製造することができたのです。次にアーモンドと同じ仲間で、漢方薬である桃仁に、 血栓症の場合の、線溶効果があるということが以前から、 私の研究室でわかっていましたので、アーモンドのベプタイドにもそのような効果があるかどうかを実験験してみました。
血栓というのは、血管の中で、血小板という止血の役割をもった血球が、数多く凝集して、かたまりを作り、 さらにフィプリンという線椎が血管内で作られ、血小板のかたまりの周囲を糸まきのようにまきつくことによってできた硬い固まりを指します。 これが形成されると、血管はつまってしまい、その血管から栄養をもらっていた細胞は赤血球から酸素をもらい受けることができず、 血液中に溶けこんでいる多くの必須物質をもらうことができなくなり、細胞は十分も経たないうちに死んでしまいます。 このようにしておこった病気を循環器系では血栓症と呼んでおり、心臓の血管内でおこると死亡につながるおそろしい症状なのです。 切傷を受けたところでは血管が破れ、出血していますので、早く止血をしなくてはなりません。 そのために血液中にパトロールしている小さい血小板が多勢かけつけ、ガッチリ、スクラムを組んで、血液の流出を防止します。 次に傷口では肉芽が形成され、完壁に傷口がふさがると血栓が不要になりますので、 まずは血小板の凝集した固まりの周囲にまきついたフィプリンという線維がとけはしめます。その時には、 局所でいろいろな酵素が働いて化学反応が進行し、フィブリンがとけるのです。その酵素を線溶活性化酵素といい、 まず第一に作用する代表的なものがウロキナーゼです。
ウロキナーゼは腎臓で作られる酵素で、線維を溶かしてもよろしいという指今がくると、そこで作用して、 血液中に存在するプラスミノーゲンという非活性な酵素を活性な酵素であるプラスミンに変えます。 新たにできたプラスミンは血小板のかたまりの周囲のフィブリンをとかすように作用します。 するとやわらかい血小板のかたまりだけになりますので、異物の貪食処埋にあずかるマクロファージがかけつけてきて、食べてしまい、 ドロドロに溶かしてしまうのです。このような複雑な過程程によって、止血し、線溶活性化作用によって、治癒していくのです。 よってこれらの円滑な作用に対して、それを変化ざせてしまうような医薬品はよくないといえるのです。切傷は自然に治るのですから、 たとえ副作用的にこれらの酵素を直接的にいじくりまわすものがあってもこまります。その点、漢方薬をはじめとする天然のものには、 人間のもつ正しい反応に対してそれをお手伝いしても、まちがった方向にむけるようなものは一つもないといえます。 たとえばウロキナーゼの出番の時には、ウロキナーゼと同じ働きをするのがないということです。アーモンドのぺプタイドもその1つで、 ウロキナーゼの活性の必要な時にのみ、ウロキナーゼにお手伝いするのです。 だからアーモンドは治りかけの切傷には早く治るようにお手伝いしますが、傷口がまだ血小板のかたまりで、止血している時には、 それにじゃますることは決してありません。切傷であれば、止血するとそれで治癒の道が三分の二完成したといえます。 放っておいても完治します。ところが、血栓は出血しておらない場合でも、血管内で形成されることがあるのです。 その原因については前段でくわしくのべておりますので、参照して下さい。すなわち高脂血症、外傷、腸内細菌内毒素、慢性病、アレルギー、 ガンなどによって誘発されるのです。これらの原因が血小板の凝集を招来してしまい、フィプリンが形成され、かたい血栓を形成します。 これを血管内血栓形成症候群といっています。頭痛、肩こり、腰痛、 坐骨神経痛などの原因の一つともなります。また心臓周辺が急に痛くなる狭心症の発作、さらには心筋梗塞、脳梗塞の病態を形成します。 ところが、このようにして血管内で形成された血栓は人間にとって、なんの手助けにもなりません。害あるのみです。 死ねといわんばかりの反応といわざるを得ません。ですから、 血管内では形成された血栓をすぐに溶かす反応系が活性化してくれなければいけません。なんといってもウロキナーゼが早く作用して、 プラスミンを作り、フィプリンを溶解してくれなければいけません。そのためにウロキナーゼが大変な力を出します。 アーモンドのペプタイドがこのウロキナーゼに力をかして、より早く、血栓が溶解するように作用することが実験的に明らかになったのです。 この作用は、アーモンドを水で煮た汁でもみられ、脱脂アーモンドの水の煮汁ではさらに効力が強くなり、 アーモンドのペプタイドに加工したものはそれよりもさらに強力な作用を持っていることが確認できました。


A 骨析・捻挫・打撲とアーモンドのベプタイド

私は薬草の研究をしている関係上、よく山へ植物採集に出かけます。ある夏の日の朝、すがすがしい気分で、学生達と、 夜露に濡れた植物を見つつ、山道を歩いていた時、前に進む気持と、足の左右の運ぴとのバランスをくずしてしまって、 パタッと倒れてしまいました。両手をついたので、腰や頭を打たなかったのですが、右足を捻挫してしまいました。 その姿をみた学生は笑いこげていましたが、
私自身は息もつけないはどの足首の痛みにおそわれ、その場から動けなくなりました。そこで日頃から、こういうこともあろうかと思い、 リュックサックの中にアーモンドのベプタイドの粉末をしのばせておいたのを取り出し、アーモンドの甘い香りを楽しみつつ、 氷筒の水で欲みました。するとしばらくして、予想通り、すっかり痛みが消失してしまい、我ながらこの効き目にはおどかされました。 ところろが二時間ほどすると、また痛み出したのです。それでアーモンドのペプタイドを飲むと、再ぴ痛みが鎮まり、 捻挫した右足をできるだけ動かさないように固定して、ゆっくり山道を歩きました。予定通りのコースが歩けず、 学生達には悪いことをしたのですが、おんぶされずにすんだことを感謝しておりました。その後、友人がスキーで骨析したとか、おばあちやんが、 ころんで肋骨を折ったとか、いろいろの人に飲んでもらいましたが、痛みが早く鎮まり、治りも大変早いようです。痛むのは、一種の警告反応で、 二度と不注意なことをするなということです。動かすと痛みが強くなるのは、それ以上動かしてはいけませんよという警告ですので、 ガッチリと固定して、動かさないようにし、炎症がとれ、痛みが鎮まれば、いつまでも足を固定しないで、どんどん動かせて下さい。 そうしないと骨が老化し、歩けなくなることもあります。


B 交通事故後遺症とアーモンドのベプタイド

交通事故は年々増加し、後遣症で苦しんでいる人もずいぷん多いと聞きます。車のうしろから追突されて、 シートベルトをしておらなかったがために、
ムチ打ち症になり、病院へ行きレントゲンを撮ってもらって、異常があれば
整形外科でそれなりの治療を受けることになるのですが、一応、骨に異常が
ないというところまで治ったにもかかわらず、頭が重い、頭痛がする、
フラつく、目がかすむ、しぴれる……といった後遣症が残ることが多いのです。
これらの症状については西洋医学ではあまり上手に治してくれないことがあり、漢方療法にたよったり、針灸療法にたよったりいたします。
むしろ、その方がよく治るのです。交通事故後遣症の症状が自覚的にあるのは交通事故の外傷がまだ治っておらないといえるわけで、 これはまさにお血の症状としてとらまえることができます。そこでアーモンドのペプタイドを毎日欠かさず飲むと、軽い症状から順に消えていき、 すっかり気分よくなることが多いのです。打撲等による血管内での異常をゆっくりと改善し、正常な血液の流れにすることによって、 各組織も正常に作動することができます。しぴれたり、感覚がうすれたり、時には痛んだりするのは、 神経に栄養を与えている血管が血栓などによってとざされて、血液の流れが悪くなっているといえるのです。 アーモンドのペプタイドは血栓を早く溶解し、炎症を治療する効果をもっているのです。後遣症の余波を受けて、血流が悪くなると、 胃の調子も悪くなり、食欲不振やムカつきがあったりします。また腸の調子が悪くなると便秘がちになったり、腰痛、坐骨神経痛、 手足の冷えなどももたらせます。


C スポーツとアーモンドのベプタイド

日曜日、久し振りに山登りをしたり、草野球をしたりすると、翌日、腕や足腰が痛くて、どうしようもなく、 とくに階段の登り降りがつらいというようなこと
を誰れもが経験されておられることでしょう。これは筋肉の疲労で、筋肉がリラックスできない状態がつづいているのです。このようなときに、 アーモンドのペプタイドをのむと、案外早く筋肉がゆるみ、痛みがとれます。また、日頃スポーツをしていない人が、思い出したように、 再開する際、身体がなまってしまって、どうしても筋肉がうまく動かせないというような場合がよくあるでしょう。たとえば柔軟体操がしにくい、 背中を腰から十分に折れない、足が開けにくかったり、あがらないというような場合に、 アーモンドのペプタイドをのむとやわらかくなりやすいのです。とくに、ヨガやエアロビクス、 ジャズダンスなどをはじめられる方におすすめします。次に、スポーツでもよくケガのするものがあります。たとえばボグシング、レスリング、 柔道、剣道、ラグビーといった具合にです。本来、スポーツとはケガをしないで楽しく、健康を保つためにするのですが、 人と人との肉体的なかつての戦いを、スポーツにとり入れたのが、これらです。男らしい、はなやかなスポーツなのですが、 選手にとってはケガの連続で、けっして身体に良いとはいえません。選手生活を早くやめる人も多く、 またケガの後遺症で長い間苦しんでおられる人も少なくありません。頭痛、めまい、肩こり、手足のしぴれ、腰痛というような症状が多く、 まさに、お血症候群です。当然、アーモンドのペプタイドをのむ対象者といえます。すっかりよくなるまでのみつづけることです。 スポーツでケガらしいケガをしていなくても、ひざが痛いというようなこともあるでしょう。たとえば、 コンクリートのコートでテニスをした場合に、体重がかかる軸足のひざが痛むことがよくあるでしょう。 砂土のコートでは痛まないの
に、コングリートのコートで痛むのは、コンクリートがクッション性がないためで、それだけひざの関節に体重がもろにかかり、 耐えかねて炎症をもたらすのです。それを放っておきますと、坐骨神経痛にまで及ぴ、テニスをやめなければならないことにもなります。 痛みがあればすぐにアーモンドのペプタイドをのんで治療しておいて下さい。

D 手術の前後にアーモンドのベプタイド

手術はどうしても悪くなったところを摘出しなければ生命にかかわるという一大事の折りに行なわれるもので、そのために健康な肌や筋肉、 骨などにメスが入り、大きなキズをつけてしまいます。外傷となんらかわりがないといえます。ところが、 手術をされる日時はあらかじめわかっておりますので、アーモンドのペプタイドを手術の前からのんでおき、 手術後はお医者さんからなにを食べてもよろしいという指示があれば、アーモンドのペプタイドをのみはじめて下さい。 手術後の経過が大変よいのです。体調を整えるためにもアーモンドのペプタイドはよく、手術後に肥満した人にはとくによいようです。 この肥満は皮下脂肪組織中に結合組織が増殖してできたものです。手術時に損傷した組織を処埋するために、免疫系が働いて、 結合組織が増殖したもので、手術をした傷口の周囲や、腹部の皮下脂肪をつまんで痛い時がそれです。女性で、 人工流産の手術をしなけれぱならない時は、とくにアーモンドのペプタイドをのむようにして下さい。手術後に、生理不順がつづいたり、 腹痛がしばしばおこったり、手術後から肥満してきたり、頭痛、肩こり、腰痛、イライラ、便秘、 手足の冷えなどの自律神経失調症がある場合には、お血の発生ですので、アーモンドをのんで下さい。

E 肥満(結合組織増殖症候群性)とアーモンドのベプタイド
皮下の脂肪組織が厚くなって、肥満だと思っていたところが、単なる肥満ではなく病的な肥満だったというようなこともあります。 それは皮下脂肪の厚い部分を強くつまんでみるとよいのです。たとえば、顔のホホ腕のつけ根のうしろ側、胸やお腹、おしり、 大股の内側といった都分です。軽くつまむだけで、ひどい痛みを感しる人は下脂肪をつまんでも痛くなく、やわらかいものです。 この人は脂肪組織細胞が大きくなったか、脂肪細胞の数が増えたかのいずれかの人といえます。なぜ、 結合組織増殖型の肥満がおこるのかといいますと、私達の体内に入ってきた異物や、体内で発生した損傷壊死した細胞、 自然の法則で壊死した細胞、腸内細菌内の内毒素など、さまざまな異物を処理するために免疫系が一生懸命働いて、 体外排除しようとしていますが、それがまにあわず、一時的に皮下脂肪組織中であずかるというような状態になると、 それらの異物をがんしがらめにしておくために、血管と細胞との間にある結合組織が増殖してくるのです。身体のかたい人で肥満している人は、 肥満している部分を皮下脂肪組織の中で、結合組織である線維状のものが多く増殖しているのです。単純性肥満なら、 皮つまんでみて、かたく痛ければ、アーモンドのペプタイドをのんで下さい。早い人なら三日から一週問でやわらかくなりはじめます。 そうするとやせてきますし、体調が大変よくなり、身軽に感じることでしょう。ケガ、肝炎などの慢性炎症、手術、食事のバランスの悪さ、便秘、 宿便がたまっている、高脂血症、飲酒過多などが原因としてあげられる他、生れつき、結合織を増殖しやすいタイプの人もおられます。


F 腰痛症とアーモンドのペプタイド

人が二本足で立つようになってから腰痛症がおこったといわれています。 脊椎という骨をまっすぐ立てておくにはまわりの支えが必要なのです。椎間板、小関節、靱帯、 さらにそのまわりを取り固む腹筋やおしりの筋肉などがコルセットのような役目を果たしております。 おしりの骨の骨盤の上に五つの腰椎がのっており、大変な重みになっています。腰椎の四番目はとくに四つんばいで歩いていたなごりなのか、 斜になっており、重いものを持ちあげたときなどにずり落ちやすいのです。これがギックリ腰です。 また内臓の病気があっても腰痛がおこったりします。たとえば胃潰瘍、慢性肝炎、胆石症、膵炎、腎結石、婦人科的疾患などです。 いずれも根本原因を治療しなければ腰痛の治療もむずかしいのですが、漢方的にみると、お血と診断される人がほとんどではないかと思われます。 まず痛みがくればアーモンドのペプタイドをのんで、様子を見て下さい。


G 美肌にアーモンドのベプタイド

女性を美しく、健康にするためにアーモンドがあるといっても過言ではないほど、女性にはアーモンドが必要なことが多いのです。 まず美容のためにアーモンドのペプタイドを愛用することです。女性の肌は白く、しっとりと、うるおいのあるのが理想とされています。 若いのに肌がカサカサになっているのは体質的なものもありますが、食物によってもおこり、アレルギ†でおこっていることもあります。 カサカサの肌の人は、血液を調べると、 プラスミンという成分の活性が低下していることが知られています。 プラスミンの活性を亢進させるにはプロアクチベーターがプラスミノーゲンに働く必要があるのです。 よってプロアクチベーターの活性こそがプラスミンを活牲化させるカギをにぎっているのです。プロアクチべ† ターの一つがウロキナーゼという酵素で、これに手助けするのがアーモンドのペプタイドであるということが私達の研究室でわかったのです。 くわしくは前章をご覧下さい。プラスミンが活性化されると、汗腺の一つであるエクリン腺に作用し、 汗腺分泌周辺の循環血流量が増加することによリ、肌がしっとりとするのです。 アーモンドのペプタイドは皮膚の血管の循環を改善する作用があるといえるのです。身体のどこかで、 炎症を持っているような場合には肌も荒れます。それは炎症のために血小板が凝集しており、凝集したかたまりが血流を悪くしているのです。 アーモンドのペプタイドはこの血小板のかたまりを溶かす作用があるために、肌が美しくなるのです。また肌の血流がよくなると、 日焼けした黒い肌が早く、もとの白い肌にもどすことができます。


H 生理痛にアーモンドのベプタイド
周期的におとずれる月経期に、男性にはわからない生理痛があるのは耐えがたいものです。その期間、むやみに新薬の鎮痛薬を連服しないで、 じっとがまんした方がよいのですが、アーモンドのペプタイドを服用すると案外よく痛みがやわらぐのです。月経の前になると、 子宮の中で排血の準備をします。切傷のような場合の出血ですと、早く止血するために血液の凝固系が亢進してきますが、 月経血は逆に血液が凝固しないようになっています。それが凝固傾向になると、子宮は少し強めに収縮して、早く排血しようとします。 それが生理痛としてあらわれることがあるのです。健康な女牲の生理痛は月経開始の一日前からおこり、一、二日でとれることが多く、 そのようなタイプの人の生理痛を鎮めるにはアーモンドのペプタイドがよろしいです。血液が凝固しないように、プラスミンが働きますが、 それにアーモンドがお手伝いします。女性が外で働いたり、活躍する場が多くなってきた現代に、生理痛を和らげる手助けをしてくれます。

I お血症候群とアーモンドのベプタイド

中国では漢の時代からすでにお血という病名が使われていました。血液がとどこおっている状態を指したもので、血管の損傷、収縮、拡張、 うっ血、充血およぴ血管内での血液の凝固の現象といえます。お血を原因的にとらえてみれば、感染、外傷による炎症、 免疫系の異常による慢性炎症(自己免疫疾患)、ホルモン分泌の異常、悪性新生物体誕生(ガン、腫瘍)、動脈硬化症、高脂血症、 血栓形成などがあげられます。これらが混合しあって、お血という病態が成立し、苦しい、つらい、元気がないというような症状があらわれます。
漢方の原典の一つである『金匱要略』にお血の症状として
1、胸満(胸がつかえる感じ)
2、唇が萎える(血行不良のため唇が麻痺して、言葉がうまくでない)
3、舌が青い(舌の上の色が紫赤色、舌の裏の舌下静脈が太くなり、全体に青くみえる)
4、口が燥く(口の中がねばっている)

5、腹がはる(ガスがたまりやすい)
6、熱症状を呈しているように苦しい(発熱症状があるがごとく、全身がだるく、疲れやすく、何事もいやになってくるような状態)
7、口渇(4の症状とよく似ていますが、水を口にぷくんでもとれない口のかわき)

以上の7つのお血随伴症状をあげています。お血を治療する漢方薬を駆お血薬と称され、 桃仁、牡丹皮、大黄、水蛭、紅花、丹参など多くの漢方薬があります。 その中の桃仁はアーモンドと大変よく似たものです。桃仁には青酸配糖体が入っており、多食できませんが、スイート・ アーモンドは全く存在せず、ましてやアーモンドのペプタイドには存在するはずがありません。アーモンドの薬用史をみても、 アーモンドが古くから世界各国の人々によって、お血症候群に使用していたことがうかがえるのです。お血でも特に、 古くなった炎症性のお血の治療にアーモンドのペプタイドを用いるとよいようです。 また新しい炎症については特に痛みを鎮める作用があるのです。

おわりに

アーモンドが漢方薬の桃仁と同じ仲間のものであることにヒントを得て、この度、スイート・ アーモンドがお血病態に大変効果的なナッツであることがわかリました。私の書架にある世界中の生薬関係の古い本や現行本をひもといてみると、 なんとアーモンドがギリシャ、ローマ時代以前から薬用にされ、それが全ヨーロッパに紹介され、イラン、インド、中国へも伝承され、 わが国では江戸時代に薬用された記載がみられました。アーモンドがおいしいナッツとして食べられるばかりでなく、 薬用にされていたことは私にとっては、カルチヤーショックでした。そのことが増々私の研究意欲をかりたて、長年の研究の結果、 アーモンドを消化させ、得た低分子ペプタイドにその有効性が集中していることを発見することができたのです。 ここにその全容を紹介することができました。新聞にも出ていますが、頼みの年金は先細り傾向にありますし、 七十歳以上の医療費の自己負担を増額する改正案も発表されました。
一方では老後を脅かす収入も低迷状態です。このような時代に健康で生きぬく知恵を働かせねばなりません。 この小著が少しでも健康運動の一助となれば著者にとっては望外のよろこぴでございます。
1986年 春 著者


薬用ナッツ・アーモンド低分子化ペプタイドのすすめ
著者 久保道徳

本稿は、故久保道徳氏の生前に、掲載に許可を頂いたものを公開しております。