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春の漢方

春の季節での自然と調和について考えて見ましょう。
春になると自然界の木々や小さな虫までも、春の陽気に誘われて芽を出したり、
動き出したりします。秋から冬にかけて蓄えた栄養分を使っていっせいに活動的
になるのが春なのです。
        
 紀元前に書かれた束洋医学の医書「素問」に書かれている養生法を要約すると
「春は冬の間隠れていたすべてのものが芽を出し、活動的になります。
陽気が多くなり、人体も活動的になる季節です。日の入りとともに寝て、日の出
とともに起きなさい。心身ともにのびのびと、活動的な気持ちを持って生活する
のが良い。この春の気に逆らって、静かに沈んだ状態でいると病気になる」と書
かれています。

 人間の体は.冬の間に腎(東洋医学の五臓の一つ)にエネルギー(腎精という)
を蓄え、春になるとこのエネルギーを使って肝(東洋医学の五臓の一つ)が働く
ように出来ています。
 腹が立つことを「頭に血が昇る」と言いますが、力ツーとなって、顔が赤くな
ったり、目が血走ったりするのは、血液が顔や頭の方に集まるからです。こんな
ふうに、血液を頭のほうに引っ張っていくのは、「気」の仕業です。
 この気をうまくめぐらせたり、発散させたりするのが、気のコントロールをし
ている肝の働き(中医学で肝の疏泄作用のこと)です。物事に動じないことを
「肝(胆)がすわっている」と言いますが、実際、肝の働きが正常なら、いやな
ことも案外さらりと受け流すことも出来るものです。
逆に、怒りっぽかったり、いつもイライラしている人は、肝の機能に問題があって
、気のめぐりが悪くなっていることが多いのです。

 また、肝には血液を蓄えたり、血流量をコントロールすると言う役目もあります。
心臓で送り出された血液が、どこかで滞ったり、あるいは流れすぎないように、
全身にうまくめぐらせているのです。 女性の月経をコントロールしているのも、
やはり肝です。女性は生理不順になったりすることがありますが、これもストレス
の影響で肝の疏泄機能が乱されたために起こる症状と考えています。また、更年期
に現れやすいイライラ、のぼせ、ほてりと言った不定愁訴も肝の機能失調がかかわ
っている事が多く、この場合、肝の機能を調節する漢方薬を用いて、かなりの効果
を上げることが出来ます。 女性の体は血液との関係が深いところから、
「肝は婦人の先天」とも言われ、女性の病気、特に月経や妊娠・出産にかかわる異
常、更年期障害などは肝との関連を考えて治療することが大切だと言われています。

四季の漢方シリーズ 春の漢方  著者:恵木弘   より