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気晴らし漢方薬

効く気晴らし漢方薬は唐厚朴を使っているかどうか

 ところで、うつ病や気分が落ち込んでいる人の特徴は喉に詰まった感じ
があるということ。西洋医学ではこれをヒステリー球、東洋医学では梅核
気といいますが、向神経薬ではこれを取り除くことができません。
先ほどの「体温を上げる」、つまり基礎代謝を高める薬も西洋医学にはあ
りません。また鎮静剤はあっても、麻薬でも使わない限り気分を高揚させ
る方法はないのです。でも、漢方薬には気持ちをよくする特効薬がありま
す。もちろん、麻薬なんかじゃありません。
         
 それは、半夏、ブクリョウ、生姜、厚朴、蘇葉の5つの生薬で処方される
半夏厚朴湯。漢方では「気」の流れを大変重視しています。気は形があり
ませんが、人間の言語、思慮、行動などのすぺてを統率しているものだと
考えています。ノイローゼは、この気が滞り、変調をきたした表れだととらえ、
気の運行を円滑にして神経活動を正常にする働きのある薬を用います。
生薬としては順気剤と呼ばれるものを使いますが、厚朴や蘇葉がこれに
あたります(順気剤にはほかに、木香、桂枝、陳皮、香附子など精油成
分の多い香りの高い生薬があります)。
 半夏厚朴湯はうつ病やノイローゼによく使われる処方で、先ほど述べた喉
の詰まりという症状が選ぷ際の大きな目標ですが、ほかに動悸、めまい、
精神不安、取り越し苦労などの症状も目安になります。厚朴が気分を明る
くし、蘇葉が気の巡りをよくするのですが、漢方薬の品質で問題になるのが
前者の厚朴なのです。

 厚朴という生薬には、実は中国産の唐厚朴と日本産の和厚朴の2種類が
あり、気に働きかける利気作用は唐厚朴のほうが断然優れているのです
(利水作用は和厚朴も同じ程度ある)。同じ「厚朴」でも両者は学名が異な
るモクレン科の別植物で、精油成分は唐厚朴のほうが断然多く、割ってみ
ると断面に光り輝く結晶があることで見分けがつきます。精油成分か多い
ということは当然匂いも強いのです。

 価格は、唐厚朴が和厘朴の10倍しますから、同じ「半夏厚朴湯」の商品
名で販売されていても、和厚朴を使ったもののほうが多いのは仕方ありま
せん。漢方薬局で購入する際に一応薬剤師さんに確かめてみたほうがい
いでしょう。
 漢方で治療している、ある精神科のドクターに「半夏厚朴渇は効かないよ」
といわれたことがあるので、私はこれを試してらんなさいと唐厚朴を使った
処方を提供したところ、その効果の違いに大変驚かれたことがあります。
まさにこういうところが漢方薬の怖いところ。

西洋薬ならジェネリックでも効果は同じなのに、漢方の場合は商品名は同
じでも、効き方は天地ほどの開きがあるのです。
 うつ症状が強い場合は、香蘇散(香附子、蘇葉、陳皮、甘草、生姜で作ら
れた薬膳の調味料にも用いられる処方)を等量、合わせて飲むとさらに効果
があるでしょう。気分が滅入ってるなと感じたとき、思いつめる前にぜひこの
記事を思い出して、品質のいい気晴らし漢方薬を試してみてください。

東洋薬行の資料より